新居浜の郷土料理「いずみや」
2017.06.20
おからに酢を混ぜて、滑らかにこしたものをシャリに見立てて握り、
魚の身で巻いた「いずみや」は新居浜市の有名な郷土料理です。
別子銅山の開発に大阪からやって来た住友家の方が作り方を伝授したので、
住友の屋号「泉屋」から名前がついたと伝えられています。
元々はすし飯を使っていたようですが、
お米は貴重品、新居浜の人々は安価で手に入るおからをお米の代わりに使うことを思いつきました。
魚はコノシロやアジ、イワシ、サバなど、
地元で獲れる旬の小魚が主ですが、時には鯛やアマギなどを使うことも。
それぞれの家庭で、おからの味付けも使う魚も違っていた郷土料理です。
現在は、作るご家庭も減り、提供してくれるお店もなかなか見つかりません。
たまに、スーパーや産地直売所のお惣菜コーナーで販売していることがありますので、
見つけた方はぜひご賞味ください。
この「いずみや」、南予地方では大きな丸いおにぎりの形をした「丸ずし」に姿を変えます。
材料も作り方、もほぼ同じですが、「丸ずし」は江戸時代に「酢じめにした頭付きの魚の腹に、
すし飯を詰め込んで形を整えたもの」と記録があり、「いずみや」とは発祥が異なります。